水道水を見直そう(中)
産経ニュース 2008年10月8日(水)
(抜粋記事)
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■世界有数の品質 技術向上で味わいも追求
うだるような暑さが続いた8月下旬。大阪市東淀川区の柴島(くにじま)浄水場で、大阪市民ら約30人が参加した利き水会が行われた。 コップの中身は、大阪の水道水と、国産、外国産のミネラルウオーターの3種類。参加者は中身を知らされないまま、 においや味を確認しながら評価を書き込んだ。
その結果、水道水を「おいしい」と答えた人は70%に上り、ミネラルウオーターの外国産は61%、国産は70%と、 大きな違いはなかった。なかには「水道水はまろやかだと実感した」という感想も。
この利き水会は、市水道局が平成18年度から実施する「おいしい水計画」の一つ。担当係長の石本知子さんは 「予想以上の評価をいただいて安心した。大阪の水は、めっちゃおいしくて安全だということを理解してもらえれば」と話す。
水源となる琵琶湖や淀川の水質悪化に伴い、かつて「日本一まずい」とまで言われた大阪の水。「かびくさい」「まずくて飲めない」 といった苦情はピーク時の昭和56年に年間1890件を数えた。平成12年に高度浄水処理された水を市内全域に供給してからも、 水道水に対するマイナスイメージはなかなか払拭(ふっしょく)できず、味やにおいに関する苦情、 問い合わせは今でも年間数十件はあるという。
内閣府が今年6月に実施した「水に関する世論調査」(20歳以上の男女3000人を対象)によると、「水道水をそのまま飲む」 と答えた人は全国平均で37・5%で、近畿地方では27%とかなりの少数派。
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水源や水質に不安を抱く消費者も多いが、日本水道協会によると国内の水道水には、大腸菌やカドミウム、水銀、 トリハロメタンなど51項目におよぶ厳格な水質基準が設定されている。一方、嗜(し)好(こう) 品扱いのミネラルウオーターの品質基準は食品衛生法に基づく18項目。
市水道局では厳格な国の基準に加え、「すっきりとしたまろやかな味」を目標とした独自の指標を設定している。石本さんは 「新しい浄水技術の研究や給水設備のメンテナンスを進め、さらに味わいを追求していきたい」と意気込む。
『やっぱり安心 水道水』の著者で、法政大学の左巻(さまき)健男教授は「日本の水道水の品質は、 安全性の面でもおいしさでも世界有数。ただし、水の味は水温や先入観にも左右されるので、冷蔵庫でよく冷やして飲み比べてほしい」 と呼びかける。(中曽根聖子)