地下水は年1回、水質検査を
朝日新聞の「生活面」、気になる飲み水シリーズ最終回。
「水道水から人を遠ざけている原因は、浄水場のろ過方法にある」
こう指摘し続けるのは信州大学の中本信忠教授。
気になる中身を、朝日新聞から一部を抜粋してご紹介いたします。
朝日新聞 2007/9/1掲載
(抜粋記事)
地下水は年1回、水質検査を
大量の薬品を使う急速ろ過方式ではなく、 微生物など自然の力で汚れを分解する緩速ろ過方式の普及を訴える。ただ、 同方式の浄水量は現在約3%だ。
ところで、自然の力といえば、緯度や湧き水などの地下水。容器に入れる人達が行列になるほど人気の場所もある。
しかし、自治体などが水質を管理するのはごく一部だ。06年9月には、宮城県内で自宅の井戸水を飲んだ男児が「乳児ボツリヌス症」 で呼吸不全になった。幸い回復したが、県が井戸を調査すると、その他の雑菌の数値も高かった。壁の亀裂から菌が侵入したとみ られている。
全国の井戸は推定約92万箇所。水質検査の結果が判明しているのは、5.8%の5万4千箇所だけだ。法律上の義務はないが、低い水準だ。
地下水汚染で深刻なのが、乳児の酸素欠乏症の原因にもなる硝酸性窒素だ。農地で使い続けた窒素肥料が土壌に残留し、地下水に混ざる。 05年度に環境省が4122箇所の井戸を調べると、84%から検出。環境基準を超えた場所も4.2%あった。水田地帯より、 肥料を多用する畑作地帯や牧草を育てる酪農地帯の方が高濃度のようだ。
井戸野水質検査は業者に頼める。費用は数千円~1万円だ。自分で試せる簡易型なら千円台の商品もある。宮城県の担当者は 「費用を惜しまず、年1回は実施して欲しい。特に乳幼児には点検済みの水を」。
旅行先で見つけた湧き水など、自分で水質を調べにくい場合もある。 国内2千箇所以上の湧き水をたずねたという紀行写真家南正時さん(61)のルールは、ぬるくないか異臭が無いか確認し、 少しずつ飲むこと。地元の人の評判も大切だ。持ち帰るなら容器に空気が入らないようにいっぱいに入れる。雑菌の繁殖を防ぐためという。
安心して飲める水こそ、おいしい水のはずだ。