何の仲間でしょう?
実物は見たことがなくても、タツノオトシゴと言えば、
誰でもどんな姿形かを思い浮かべることができると思いますが、
一体何の仲間かご存知でしょうか?
漢字で書くと『竜の落とし子』ですが、
その学名は『Hippocampus(ヒポカンパス)』です。
この語源はギリシャ語のHippos(馬)
、Campos(海の怪物)から由来するそうです。
中国語では『海馬(かいま・かいば)』、英語では『Seahorse』と呼ばれ、
よく馬に連想されるようです。
江戸時代は虫として図鑑に載っていたそうですが、
実はヨウジウオ科タツノオトシゴ属の魚です。
魚ですので、胸びれと背びれを小刻みに震わせて泳ぎますが、
見た目からも想像できる通り、動きはとてもゆっくりです。
普段は、潮に流されないよう、長い尾を海藻や珊瑚に巻きつけ、
体を固定させています。
因みに大脳の側頭葉に海馬という記憶を司る領域がありますが、
この海馬は断面図がタツノオトシゴに似ているからつけられたそうです。
タツノオトシゴはオスが出産をします。
と言っても卵を産むのはメスなのですが。
オスの腹部には育児嚢と呼ばれる袋があり、
その中へメスが輸卵管を差し込み産卵します。
オスは育児嚢の中で受け取った卵を保護し、
やがて孵化した稚魚が、小さいながら親と同じ姿で出てきます。
この時のオスの姿がまるで出産しているかの様に見えるのです。
また、タツノオトシゴを乾燥させ、滋養強壮の漢方薬や、
安産のお守りとして用いられることもあります。
しかし、サンゴ礁の減少や環境汚染、また、主にアジアにおける乱獲により、
一部のタツノオトシゴは絶滅の危機に瀕している事も事実です。
現在、絶滅の危機に瀕している動植物は、タツノオトシゴだけでなく、
地球上に数多く存在します。生態系のバランスが崩れると、
やがて、私たち人間も生きて行けなくなってしまいます。
余談ですが、タツノオトシゴの近種には、
タツノイトコやタツノハトコという名前の魚がいます。
おもしろいですね~